菓子製造業・工房を造る・1
私が手作りのお菓子を販売したいと思ってから菓子製造業の営業許可を取得するまでに何をしたのか?
菓子製造業の営業許可を取得し、営業を開始するまでの流れとしては
・計画を立てる
・事前の相談
・食品衛生責任者設置
・菓子製造施設(工房)を造る
・営業許可申請をする
・施設の調査、許可、許可証の受け取り
・営業開始(開店)
と言った感じになります。
過去に書いた記事
「菓子製造業の営業許可を取得するために」
「食品衛生責任者の資格を取得するには」
「菓子製造業の営業許可申請をしました」
今回は、私が一番気になっていた「菓子製造業の施設基準を満たす施設を造る」について書きたいと思います。
長ーくなりますので、どうぞお時間のある時に読んでみてください。
Contents
自宅か賃貸か?
菓子製造業の許可を得るには、専用の製造施設が必要です。
自宅の一部を専用施設として営業するのか?
物件を借りて営業するのか?
どちらにしても、保健所的に施設基準は変わりません。
私は持ち家をリフォームする事よりも、賃貸物件で営業することを選びました。
現代はとても便利になりましたね。。。
人生で初めての物件探しでしたが、ネットで自分の希望条件を入力したらすぐに候補が数件出て、その中からあっという間に自分の条件に合った物件が見つかりました。
自分の希望条件に合った物件でも、保健所の施設基準を満たしていなければもちろん営業許可はおりませんから、その物件が施設基準を満たすか保健所に相談し、おそらく許可をいただけそうだと分かった時点ですぐに物件を契約しました。
間取り
水道設備
この2点が決め手☆
大きな工事の必要もなく取り掛かれる物件だったのは本当に幸運でした。
保健所からの指示
とは言え、何もせずに許可を得られるものではなく。。。
保健所の担当者は、私の物件に足りない部分を丁寧にアドバイスしてくれました。
1・手洗い設備・2か所
2・冷蔵庫
3・常温保存材料の保管庫
4・温度計(冷蔵庫内・室温がそれぞれわかるもの)
5・調理・冷却・包装・デコレーションをするそれぞれの作業台とその置き場所
6・蓋付きごみ箱
意外だったのは、「オーブンはあってもなくてもどちらでも構わない」と言う事。
私は焼き菓子の方が得意で沢山作る予定にしていたので、開業前からどんなオーブンを買うかずっと頭にありました。
しかし、保健所的にはどういう機械や方法で焼くのかそれほど問題でないようでした。(作るお菓子によってはオーブンがなくっても許可は下りる)
ビックリ☆
でも、考えたら、ゼラチンで固めるプリンだったらオーブン必要ないですし、コンフィチュールもオーブンなくて良いですものね。
お菓子作り=オーブン って思い過ぎていました^^;
では次に、上記でアドバイスいただいた内容をひとつひとつ記していきます。
①・手洗い設備・2か所
保健所の基準として
トイレの後の手洗い場所
調理の際の手洗い場所
この2点が必須です。
トイレの後の手洗い場所
トイレの中の手洗い場やタンクの上の手洗い場は認められません。
また、間取りとして【トイレを出てから調理場までの間に部屋や廊下・ドアが必要】で、一般的なワンルームマンションの様なお部屋とトイレがトイレのドアだけでしか隔てられていない、と言うのはNGだそうです。
私の場合、トイレと調理場は廊下で隔たっていましたので、廊下にある水道設備にシンクを設置することで大丈夫でした。
ネットで購入したシンク。
到着した段ボールは結構大きかったですが、意外と軽くて、組み立ても簡単にできました♪
調理の際の手洗い場所
次に「調理の際の手洗い場所」ですが、これは地区によって少々違いがあるようです。
よく言われるのは、「2層式シンクでないとダメ」だそうですね。
しかし、私の地区は「手を洗うシンクと、調理時に使うシンクが分かれていればよい」との事でした。
賃貸物件にはもともと一層のシンクがあり、そこにはラッキーなことに蛇口が二つありまして。。。
そこにガス給湯器を購入して取り付け、シンクをもう一つ購入・設置したので簡単に済みました。
これです♪
↓
大きさのわりに軽ーい♪
組み立ても女性一人でもらくらく♪
ご参考までに、写真のシンクはこのシリーズです♪
↑
こーんなにコンパクトなシンクもあります。
設置したいスペースや用途に応じて豊富なサイズから施設にピッタリなシンクが選べます。
保健所では、製造規模に応じたサイズ(幅・深さ)の指導がありますので、間違えないように選びましょうね。
これで、一番難関と思っていた「手洗い設備・2か所の設置」が済みました。
そして、どちらの手洗い場所にもハンドソープを常設しました。
殺菌剤などと書かれている地区もありますが、一般的なハンドソープで構わないとの事でした。
手洗いは衛生面で本当に重要です。
手のひらだけでなく、指先・指のつけ根・手首、そして肘近くまでしっかり洗い、流水で流しましょう。
手を拭くタオルも常に清潔なもので。
使い捨てのペーパーが良いですね。
②・冷蔵庫
冷蔵庫ですが、私は焼き菓子・生菓子・菓子パンを製造したいので、それには卵・バター・生クリームなどを使用します。
それを保存するために「冷蔵庫」が必須です。
(冷凍庫はどちらでも良いみたい。。。先ほどのオーブンと似た感じ)
人生で初めて「ネットオークション」で冷凍冷蔵庫を購入しました。
私一人で小規模に作りますので、業務用の立派なものでなくて良いとの事でした。。。予算的に助かった~♪
工房のカラーを、大好きなピンクと白で統一していきました♪
③・常温保存材料の保管庫
保管庫は扉がついていればOKだそうで、IKEAで購入して組み立てました。
シンクに比べて、かなり大変だった。。。
もう一人いたら楽だったかな。
でも、無事完成☆
他には、押入れがあったのでそこも保管庫として使用しました。
④・温度計(冷蔵庫内・室温がそれぞれわかるもの)
冷蔵庫
冷凍庫
室内
温度がしっかり分かるように、それぞれに温度計が必須です。
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↑
こういうのですと、いちいち冷蔵庫を開けずに一目でわかるので推奨っぽいです。
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↑
このタイプでも大丈夫みたいです。
パッと一目見て分かりやすいですものね。
室内の温度計は
こんなのにしました。
(たまたま縁起の良い時間が撮れた♪)
各箇所を測る温度計ですが、高価なものや多機能のものでなくて大丈夫なのは嬉しいですね。
⑤・調理・冷却・包装・デコレーションをするそれぞれの作業台とその置き場所
・作業台の素材
・作業台の設置場所
2点を言われまして。。。
これ、少しわかりにくい部分でしたので、担当者に確認しました。
作業台の素材
まず、営業許可には期限(年数)と言うものがあって、私の地域は5年~8年の間で許可が下りるそうです。
施設の内装や設備の状態によって年数が決まるとのことでした。
(地域によって違いがありますので、詳しくはあなたの地区の保健所・条例をご参照ください)
「新築だから」
「新品の機械だから」
と言う基準ではなく
「耐久性」
「耐水性」
などが基準です。
例えば
木製 < プラスチック製 < ステンレス製
と言った感じで年数が長くなるそうです。
ステンレス製の作業台。。。プロの厨房でよく見ますよね!
憧れであります☆
でも、かなりお高い!!
耐水性がある(水拭きできる)素材ならばOKと言われたので、木製を購入しました。
また、それぞれの作業台を区別しなければならないと言われました。
以下です。
・調理台(生地作り)
・生菓子などのデコレーションをする作業台
・焼き上がったお菓子の冷却や包装をする作業台
最低でもこの3種類が必要と言われました。
↑
調理台(生地作り)
↑
焼き上がったお菓子の冷却や包装をする作業台
↑
生菓子などのデコレーションをする作業台
どれも木製でしたが、許可をいただけました。
作業台の設置場所
そして「作業台の設置場所」についてですが、上記の3種類の台、どこにおいても良いわけではありませんでした。
私の物件は「1DK」の間取りでして、当初私は、調理は「DK4.5」の部屋で、デコレーション・冷却・包装は隣の「洋6」の部屋で行おうと思っていました。
しかし、保健所から「DK4.5」と「洋6」を二部屋として使うのならば、それぞれの部屋に洗浄シンクを設けなければならないと言われました。
でも、二部屋の間の扉を開放して使うのならば、一部屋とみなされるので洗浄シンクは増設しなくても良いと。。。
なので、扉は常時開放することにして、3種類の作業台は以下の様に設置しました。
ちょうど引き戸だったので、開け放しておけて良かった!!
むしろ、移動の際に扉を開け閉めしなくて良いのは作業効率が上がります。
(冷蔵庫の横なので邪魔にもならないし♪)
そうそう、「耐水性」に関してですが、よく床や壁も耐水性のある素材、と言われます。
(もっと難しい言葉で書かれていたりしますが^^;)
「コンクリートなどの洗い流せる床」とかって言われたら無理。。。って、これもとっても懸念事項でドキドキしていましたが、床も壁も耐水性のある素材だったのでOKでした。
板の間でなく、ビニールっぽい床材と言えば伝わるでしょうか?
こうやって水拭きできるのです。
また、照明器具ですが、埃が落ちないようにしっかりと清掃することなどとアドバイスがありました。
伸びるハンディモップみたいなものを購入してお掃除していました。
以上、「調理・冷却・包装をするそれぞれの作業台とその置き場所」についてでした。
最後に「蓋付きごみ箱」についてです。
⑥・蓋付きごみ箱
ごみ箱は「浸透性のない材料で作られたもので、蓋付きで、容量が充分にあること」が求められました。
プラスチック製で、蓋がしっかり出来て、分別も出来るタイプを、それぞれのシンクや作業台の近くに置きました。
ホームセンターや無印良品で購入しましたよ。
私は小規模・低予算で始める計画でした。
大掛かりな工事の必要のない物件を探して
許可をいただける範囲で贅沢をしない機材を揃え
なるべく自分で造り上げて費用を抑える
その為に、保健所で事前にしっかりと相談していたので、大きな問題もなく製造施設を無事完成させる事が出来ました。
電話・対面、両方でしっかりと相談に乗ってくれた担当者に感謝しています♪
以上、とーっても長くなりましたが、「菓子製造業の施設基準を満たす施設を造る」について記しました。
そして、施設基準に則った製造施設を造りあげたら、いよいよ「営業許可の申請」です。
。。。ここまでくれば、ゴール(=営業が認められること)はすぐそこ♪
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